セクション2 「社会人に必要な数のセンス」 コース001111

セクション2
「順列・組合せがきちんとわかるための数のセンス」


【問題】

ある会社がノートパソコンを売り出している。パソコンの本体の色は、白、黒、濃紺、シルバーの中から、客が好きなものを選ぶことができる。一方で、OS(ウィンドウズのような基本ソフト)は当然組み込まれているが、それ以外に7種類用意されている応用ソフトの中から、やはり客が好きなものを3個選んでつけてもらうことができる。この時、外側の色も応用ソフトの選択も完全に一致したものを一つのパターンと呼ぶとして、このパソコンにはいくつのパターンが考えられるか?

ただし、応用ソフトなし、あるいは1個または2個だけという選択は、考えないものとする。同じソフトを複数個選ぶという選択も考えない。

(1)140個 (2)420個 (3)840個

(1)を選んだ人:確信を持った計算で140個とわかるなら、順列・組合せの基本は理解できている。ただし組合せをより感覚的に把握していただくために、発展解説を読んでほしい。

それ以外を選んだ人:順列・組合せの基本を理解するため、基本解説を読んでほしい。


【基本解説】

順列組合せなどをもう少し総称した概念として「場合の数」というものがある。何種類かの要因があって、その両方の状態が1つの「場合」を作り上げるような時、原則として「場合の数」は、それぞれの要因がとる状態の数を掛け合わせたものとなる。

これだけではわかりにくいので、普通の6面サイコロ(立方体)を考えよう。1つのサイコロがとる状態の数は、1、2、3、4、5、6の6通りである。ここでは、大小2つのサイコロを考えよう。「大きいサイコロが3で小さいサイコロが5」などというそれぞれのパターンを一つと考えた時、目の出方にはいくつのパターンがあるだろうか。

これが掛け合わせの原理であり、6(大きいサイコロの状態数)と6(小さいサイコロの状態数)を掛けて、36というのが答となる。実際、大きいサイコロの目を算用数字で、小さいサイコロの目を漢数字で表わすとすると、すべてのパターンは以下のようになり、数えれば全部で36通りとわかる。

1~一、1~二、1~三、1~四、1~五、1~六、2~一、2~二、2~三、2~四、2~五、2~六、3~一、3~二、3~三、3~四、3~五、3~六、4~一、4~二、4~三、4~四、4~五、4~六、5~一、5~二、5~三、5~四、5~五、5~六、6~一、6~二、6~三、6~四、6~五、6~六。

この問題の場合、本体の色は「4」通りである。したがってそれに応用ソフトの選び方の数を掛けてやれば、答が求まることになる。

応用ソフトの選び方というのは、7種類の中から異なる3つを選ぶということだ。問題文の最後に述べたように、2つ以下しか選ばないとか、同じソフトを2回以上選ぶ、といったことは考えない。7種類の中から異なる3つを選ぶ選び方。これがまさに「組合せ」という考え方である。

この「組合せ」の原理説明は非常に長くなるので、参考書などに譲る。高校の時に、確率を学ぶ前提として、順列や組合せを習ったと思うが、その教科書や参考書の「組合せ」のところで説明されているはずだ。筆者自身の本でいえば、『数字のホント?ウソ!』(加藤良平著、KKベストセラーズ・ベスト新書)の116~122ページで詳しく解説してある。

それで結論だけいうと、7種類の中から異なる3つを選ぶ選び方は、35通りである。あるいは「組合せ」の考え方に従って計算式だけ述べるなら、これは(7×6×5)÷(3×2×1)ということになる。これが実際に35となることは、すぐに確かめられるだろう。

というわけで、本体の色の数「4」と、応用ソフトの組合せの数「35」とを掛けた、「140」というものが求める答えとなる。

なお、本体の色と、応用ソフトの組合せ以外に、さらに別の選択がある場合、掛け算をその分だけ増やしていけばよい。たとえば、本体の色や応用ソフトなどとは関係なく、2種類のマウスA、Bから好きな方を選べるとしよう。それも含めたパターンの数は、4(本体の色の数)×35(応用ソフトの組合せの数)×2(マウスの種類の数)で280通りということになる。サイコロの例でいえば、大中小3種類の立方体サイコロがあるなら、3つを振った時の出方は6(大サイコロの状態数)×6(中サイコロの状態数)×6(小サイコロの状態数)で216通りということになる。


【発展解説】

まったく同じように考えて、たとえば色の数が5通りで、用意されている応用ソフトの種類が6つ(その中から3つを選ぶ)ならどうなるか。6種類の中から異なる3つを選ぶ選び方は、(6×5×4)÷(3×2×1)で20通りなので、全体のパターン数としては、5×20すなわち100通りということになる。

逆に、色の数が3通りで、用意されている応用ソフトの種類が8つ(その中から3つを選ぶ)ならどうなるか。8種類の中から異なる3つを選ぶ選び方は、(8×7×6)÷(3×2×1)で56通りなので、全体のパターン数としては、3×56すなわち168通りということになる。

ほかの場合も含めて表にまとめると、次のようになる。

これからわかるように、色の種類が増えると、全体のパターン数は、それに正比例する形で増えていく。しかし応用ソフトの数が増えると、それよりはるかに勢いよく増える。よく「組合せ論的にどんどん増えていく」などという言葉が使われるが、それはこういうことだ。

もしあなたがこのパソコンの販売促進担当者で、「お客様が選べるパターンの数が多い」ということをセールスポイントにしたいのなら、外側の色のバリエーションを増やすより、用意しておく応用ソフトの数を増やすことで、一層強力なアピールができることになる。

逆にもしあなたがこのパソコンのお客様ご相談窓口の担当者で、あらかじめすべてのパターンに対して対処職務分掌マニュアルを準備しておかなければならないのなら、応用ソフトの数が増えることで準備が飛躍的に大変になることを覚悟しておかなければならない。



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