パート3・セクション11 コース000070「人事制度の構築と運営の方法」(MM式チームワーク主義育成型人事制度)

<パート3>

■セクション11「能力細目チェックリスト」

能力考課の前提となるチェックリスト。「基礎能力開発基準(一覧)」の能力定義に従い、細目をチェックする。
階層ごとに、チェックする細目が異なるが、判断基準は共通する。

フリーWebカレッジ 組織運営学科 コース000070 添付図 ©蒔苗昌彦

↑ クリックすれば上記図は拡大表示されます

「基礎能力開発基準(一覧)」によって数多くの能力細目を社員・職員に求めるため、それに伴いチェックリストでのチェック数が多くなる。右図の例示のように、特に階層1は多くなる。
「基礎能力開発基準(一覧)」によって数多くの能力細目を社員・職員に求めている以上は、それと同じ数のチェック数となるのはやむをえない。「基礎能力開発基準(一覧)」とチェックリストの数が不一致だと人材育成のPDCAサイクルのつじつまが合わなくなる。※1

かと言って、チェック数を減らしたいからという理由で、社員・職員に求めたい能力の数を減らすのでは、本末転倒だ。ともかく、パート2セクション1「人材育成のPDCAサイクルと考課の位置づけ」やその他随所でも強調してきたように、人材育成主義の人事制度においては、考課はあくまでもPDCAのC(点検)の箇所に位置づけられるものだ。
したがって、当人事制度を導入し「チェックする数が多くて大変だ」という声があがったとしても、その声に負けて本末転倒とならないよう、人事制度担当者は踏ん張って頂きたい。※1

しかしながら、こうした声に配慮の意思を示さなければ、当人事制度の導入が丸ごと拒絶されてしまう事態も起き得る。そのような場合には、細目単位のチェックではなく、細目の分類単位のチェックのみへと方法を変える妥協策がある。つまり、右図を事例とすれば、1「健康自己管理」関連、2「倫理」関連、3「人間関係」関連、4「チームワーク」関連、5「情報処理伝達」関連、6「思考」関連、7「行動」関連、8「組織行動」関連、9「実務」関連、10「問題解決」関連の10項目のチェック数とするのである。

ただし、そうであっても、たとえば3の「人間関係」関連ならばその内訳として、1.挨拶実行力 、2.マナー実行力 、3.傾聴力 、4.感謝能力 、5.謝罪能力、6.他者理解力 、7.心情察知能力 、8.心情対応能力 、9.緊張緩和能力 、10.激励能力 、11.意欲喚起指示能力 、12.賞賛能力 、13.注意叱責能力 、14.自己感情露呈防止能力、15.混乱整理能力、16.非言語表現活用能力 、17.相談時誘導能力 、18.折衝能力といった具体的な細目が存在することを大前提とすること。

やむをえない処置であるものの、制度の導入が丸ごと拒絶されてしまうことや、人材育成のPDCAサイクルの順番がおかしくなってしまうことに比べれば、ましである。
導入後しばらく分類単位のチェックで運用していくなか、「やはり、人間関係能力と一括りでチェックするより、具体的な細目をチェックしたほうが納得性がある」との意見が増えていくように誘導し、結果、細目チェックを実現するのも方法である。

ちなみに、「能力細目チェックリスト」の例では、細目単位と分類単位の両方ともチェックを入れることができる形式としてある。この形式にした場合には、先に細目単位でチェックを入れた後、総括して分類単位のチェックをすることになる。細目単位だけのチェックに比べ、一層手間が掛かることになるが、「細目単位のチェックをする自体には反対しないが、それだけでは、木は見えるが森が見えない」といった意見が強い場合の対処策として用いて頂きたい。
ただし、当人事制度はいわゆる定量的な評価はしないため、たとえば「細目単位のチェックのAの合計数がいくつ以上ならば、分類単位のチェックをAにする」といったような数値の取り決めを作らないこと。

なお、このチェックリストの用い方については、セクション17「管理職用・人事制度運営マニュアル」に、管理職から観た手順が記載される。
また、このチェックは、管理職(上司)のみならず本人(部下)も自己チェックとして行ない、期末に両者のすり合わせをする関係上、セクション16「新人事制度概要解説パンフレット(全社員向け)」にも解説が掲載される。


※1:
ただし、もともと求めたい能力が少ないほど、採用時点で優秀な社員・職員を雇っている場合は、話は別である。


<次のページへ>

<目次に戻る>