パート2・セクション4 コース000070「人事制度の構築と運営の方法」(MM式チームワーク主義育成型人事制度)

<パート2>

■セクション4「仕事の構成と賞与までの流れ」

今度は、社員全員に共通する仕事の構成と、それが実行され、成果を出し、考課され、賞与に反映されるまでの流れを見てみる。言い方を替えれば、実務考課(業績考課)の流れとも呼べなくはない。それは下図の通り。

フリーWebカレッジ 組織運営学科 コース000070 添付図 ©蒔苗昌彦

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まず期首に、当期の「所属組織の課題・目標の確認」「(当人が就く)職務の設定または確認」「チャレンジ課題の設定と実行計画(の策定)」を、「チャレンジシート」を用い上司と共に行う。

この「チャレンジシート」は、具体的な書式と記入事例はパート3にて示すが、いわゆる「目標管理制度(MBO)」を一要素として包含しているものの、目標管理専用の帳票というわけではない。いわば拡大版の目標管理制度とその帳票である。

なぜ拡大版なのか?それは当人事制度における「仕事」の捉え方にある。
いわゆる「目標管理制度(MBO)」だけに注力する人事制度では、挑戦しがいのある目標(言い方を替えれば本人の実力よりも多少高いハードル)に脚光が当たり、そのため、やって当然の仕事・やれて当然の仕事であるところの「(日常の)職務」や、期首には予定されていなかった仕事(期中突如発生した仕事)が考課の上で日陰に追いやられる傾向があった。

MM式チームワーク主義育成型人事制度においては、そうしたことは全くない。まさにチームワーク上の役割として設定された「職務」についても考課の対象となるし、期首には予定されていなかった仕事(期中突如発生した仕事)もそれが実際に発生した場合には、考課の対象となる。かと言って、挑戦しがいのある目標を設けないわけではなく、それは職務に上乗せする課題(名称:チャレンジ課題)として設定し、こなすべく努力をしてもらう。その上で、「職務」と「チャレンジ課題」、そして発生した場合には「予定外の仕事」のそれぞれの成果を総合して、実務考課(業績考課)をつける。それゆえ、拡大版の目標管理制度とその帳票(チャレンジシート)となるのである。

ちなみに、当人事制度では、実務考課の結果は賞与に如実に反映される。しかし、昇級候補者案を作成する際には、実務考課の結果は、最低条件として考慮されるものの、如実には反映されない。
なぜならば、職務の種類においては本人の努力とは関係のない偶発的な要因で、著しい業績を上げる場合※1もあるからで、そうした場合はもちろん実務考課として高く評価してあげ、賞与(または別途定めた報奨金制度等)により報いてあげるべきだが、偶発的な要因を等級制度に如実に反映させる図式にしてしまうと、本人の不断の努力によって着々と開発・伸長すべき基礎能力の考課を反映させるための等級制度の趣旨が崩れてしまう。

なお、上述にて「昇級候補者案を作成する際には、実務考課の結果は、最低条件として考慮されるものの、如実には反映されない」という難解とも言える表現を使用したが、後のパート3セクション4「昇級候補者選定基準」をお読み頂ければ、その意味はクリアに理解できると思う。
何はともあれ、当人事制度においては、このように実務考課と能力考課を仕分けすることが非常に重大なポイントとなる。


※1:
偶発的な要因としてはほんの一例となるが、たとえば、販売職務の人が、たまたま親戚の口利きでその時のニーズにマッチした大型セールス案件を労力なしに成約させてしまった、というようなケースである。
なお、その際に、せっかくの機会を逃したり潰してしまわなかったという点において、何かしらの基礎能力を発揮したのであれば、それは別途、能力考課に反映されるが、大型セールス案件の成約という業績は、あくまでも実務考課に反映させる。


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