パート2・セクション3 コース000070「人事制度の構築と運営の方法」(MM式チームワーク主義育成型人事制度)

<パート2>

■セクション3「基礎能力開発基準を軸にした人材育成のフロー」

さて、前セクションで当人事制度の構図を示したが、ここでは「基礎能力開発基準(一覧)」と称する能力基準を軸とした人材育成のフローを見てみよう。

フリーWebカレッジ 組織運営学科 コース000070 添付図 ©蒔苗昌彦

クリックすれば上記図は拡大表示されます

まずこの「基礎能力開発基準(一覧)」がどのようなものかと言えば、それ自体をMM式としてコース000701で別途、詳しくご覧頂けるようになっている。だから、さっそくコース000701を受講下さい。また、この「基礎能力開発基準(一覧)」は、コース000700「社員教育の定義とポイント」における考え方を前提としている。ついては、こちらのコースも併せて受講下さい。※1

さて、コース000701を受講し終えたことを前提に、以下、話を進めよう。
右図は、前セクションの図の中から、基礎能力開発基準とその関連要素を取り出し、さらに人材育成の流れを説明するに必要な事柄を加えて、フロー図として表現したものである。
これにおいても、「本人の努力」なくしては能力の開発・伸長はありえずという考えから、黄色で囲んだ「本人の努力」が中心に位置づけられる。しかし、具体的にどのような能力を開発・伸長すればいいのか、提示されなければ立ち往生してしまうので、「基礎能力開発基準(一覧)」を組織は示す。

「基礎能力開発基準(一覧)」は、コース000701でも述べたように、
1)「社員(または職員)がこういう基礎能力を開発し
てくれたらいいなあ・・・」との希望に基づく想像
を働かせて作成すること
2)職務や職種に関係なく適用できる基礎的な能力
(共通能力)として作成すること
3)なるべく細目的に作成すること
4)個々の能力(細目)の名称と定義を文書化すること
5)一般に性格的(人格的)な要素と思われるもので
あっても、能力としての記述に言い換えること
6)必ず組織内で公開すること
7)各人が全項目(細目)を達成することは理想だが、
必須の義務というわけではない旨、強調すること
8)各人の具体的な役割分担・作業項目を伝える手段
は、別途、職務分掌マニュアルが担うこと
以上がポイントとなる。

コース000701にて紹介する一覧は、「コースの担当講師である私が、もし或る組織の最高責任者(もしくは人事教育の責任者)ならば、組織メンバーがこういう基礎能力を開発してくれたらいいなあ・・・」との仮定に基づき、私自身の主観で作成した例である。
しかし、受講者が所属する組織が作成(もしくは承認)する場合は、実際に組織運営か人事教育に責任を持つ立場の人※2が担当するべきものである。

図のように、「基礎能力開発基準(一覧)」は組織内で公開する。そして、誰もがそれを見るよう※3、自らの能力開発・伸長の目標とするよう、組織として命じる。組織として命じることにより、能力の開発と伸長は上司と部下の共通課題とし、両者が協力して課題に取り組むようにさせる。具体的には、制度として正式に行われる期首の面談にて、両者は、開発・伸長に重点を置く能力(部下側の能力)を確認し、目標とする。そして、期中、上司は日常指導の中で手助けする。期末には、期中を振り返り、能力考課という手段により、能力の開発・伸長ができたか否かを確認し、帳票の提出によって組織に対し報告する。

能力考課の帳票の提出を受けた組織(実際の担当は人事部)は、考課結果を全社的に集計し、基礎能力の分布を把握する。その分布を参考に、次期の教育計画・採用計画を検討する。※4
また、能力考課の結果は、組織が次期の昇級候補者を選定する際の重要な検討要素となる。
さらに具体的な手順等は、パート3にて述べることとし、とりあえず当セクションを終え、次のセクションへ進もう。


※1:
ちなみに、人事制度を運営する立場から観て必須アイテムとなる「基礎能力開発基準(一覧)」が、同時に、社員教育の立場から観ても必須アイテムとなる。人事の専門家の中には、このことに違和感を感じる人もいるかもしれない。しかし、このことこそが、人事と教育を乖離させず、人材育成主義の人事制度を実現を約束するものとなる。

※2:
社長か人事教育担当役員、もしくは人事教育部門の長。もし、人事と教育が別々の部署の場合は、必ず両者が協力して作成して頂きたい。

※3:
冊子を配布するなり、社内ネットに掲載して頂き、誰でもいつでも見ることができるようにしておくことを前提に、暗記を強要しないこと。

※4:
具体的にどのように参考にするかと言えば、たとえば、全社的に見て苦手な能力を補強すべく、その能力開発に役立つ集合研修や、図書紹介、通信教育、eラーニング等を行う。また、採用計画においては、既存社員が苦手な能力を得意とする中途社員を雇うようにする。いわば全社を一人格と見立て、弱点を補強するのである。


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