パート2・セクション1 コース000070「人事制度の構築と運営の方法」(MM式チームワーク主義育成型人事制度)

<パート2>

■セクション1「人材育成のPDCAサイクルと考課の位置づけ」

前パートで述べたように当コースが語る人事制度は、チームワーク主義であると同時に人材育成主義である。人事制度を運営することによって人材育成が促進されてこそ、その主義の本領が発揮される。そのためにくれぐれも気をつけなければならないのが、「考課の位置づけを間違いないこと」である。

世間一般において、新たに人事制度を構築しようとする時や大幅改訂しようとする時、いきなり考課の基準と方法から考え出す人が結構いる。しかし、人材育成主義のもと人事制度を構築し運営しようとするならば、考課のことを最初に考えてはならない。※1
考課は、あくまでも下図のように、人材育成のいわばPDCAサイクルの中のC(点検)の位置づけであり、一番最初にあるものでない。

一番最初にあるべきものは、右図PDCAサイクルのように「仕事の設定」および「求めたい能力の提示」である。社員・職員の各人に対し、具体的にどのような仕事をしてもらいたいのか、どのような能力を開発・伸長してもらいたいのか、組織として示すことが必要なのである。

ちなみに、「仕事の設定」は、人事制度のサイクル(半年間または1年間)の期間の期首に、「作業項目一覧表(後述)」と「チャレンジシート(後述)」を用いて上司と共に行う。
「求めたい能力の提示」は、人事制度のサイクルを回し出す以前に組織が公開する「基礎能力開発基準一覧(後述)」を以て各人へ提示されたこととした上、さらに期首、特に力を入れて開発すべき能力を上司と共に確認する形にて行う。

これらを前提として、期中、管理職(上司)は日常指導を行なう※2。そして、期末に日常指導の内容を振り返り成果を確認し、考課を行うのである。
したがって、パート1でも触れたように、いわゆる考課基準は、人材育成の基準をそのままスライドして用いることとする。つまり、人材育成の基準と全く別の考課基準を設けることはしない。そして、この人材育成の基準とは、実務においては「作業項目一覧表」と「チャレンジシート」、能力開発においては「基礎能力開発基準(一覧)」なのである。こうしてこそ、人材育成のPDCAサイクルが成り立つ。


※1:
もっとも、人材育成主義をうたわない人事制度であっても、人材が育成されるのに越したことはない。この観点からすれば、「仕事の設定および求めたい能力の提示」をせずにいきなり考課の基準や方法を考えることは、当コースが述べる人事制度でなくても、順番の誤りとすることができるのではなかろうか? もし「考課をすることだけが目的の人事制度」というのならば別だが、そうでなければどのような人事制度においても考課は一チェックポイントとなるだろう。
いずれにしても、「何のための人事制度か?」という認識をしっかり持って制度構築に臨む必要があることには違いない。

※2:
ここで言う日常指導とは、仕事をちゃんと行なっていれば労いの言葉をかけ、そうでなければ注意叱責することである。また、基礎能力開発基準一覧に定義してある通り行動していれば褒めてあげ、そうでなければ注意叱責することである。


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